原田マハ 『モダン』(文春文庫) ~3・11を背景に、ワイエスの絵画を軸とした、美術館員二人の心情を描いた秀作《中断された展覧会の記憶》に感動しました。このブログのアクセス数が16万を超えました。

 はじめに・・。このブログのアクセス数が16万を超えました
 こつこつと書いて10年。アクセス数の増加も嬉しいですが、文章を書くことによる、自分自身の知識の蓄積が、もっと嬉しいです。
 これからも、自身の《手習い》のために続けて参ります。よろしくお願いします。


 ・・さて、本題。

 《ザ・モダン》とは、《MoMA》、ニューヨーク近代美術館の愛称です。
 書店の新刊棚で、本書をパラパラめくっていると、最初に、アンドリュー・ワイエスの「クリスティーナの世界」を題材とした短編があるので、即、買い求めました。

原田マハ 『モダン』(文春文庫)

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 MoMAを舞台にした短編集です。
 著者の、絵画の深い知識を縦横に駆使して、しかも、温かい気持ちで組み立てた物語5編は、さながら宝石箱を見たような感動です。

 まずは、やはり、冒頭の「中断された展覧会の記憶」に感動して、ワイエスの絵が好きな私は、これを読んでいる間、ずっと涙目でした。
ワイエスについては、このブログの、2010・10・1の記事『画家、アンドリュー・ワイエスの世界』をご覧ください。)

 3・11の大震災中に「福島近代美術館」に「クリスティーナの世界」が貸し出されていて、MoMAの展覧会ディレクター・杏子が、理事会の命で、福島に、この絵を返還してもらいに行く物語を、福島の学芸員長谷部伸子との〈交流〉を通して描いています。

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 これ、フィクションですよね。巧い。ホントに巧い。震災の周辺で起きたであろう様々な事象の一つから、深刻さを喚起し、また、前向きな感動を静かに与えてくれました。

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